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普天間移設先決定の先送りをめぐる五紙の社説 [普天間]

各紙は鳩山総理の普天間をめぐる指導力の欠如に深い憂慮を示すことで揃った。
その視点は、日米安全保障体制の危機や普天間基地周辺住民の危険性など様々ではあるが、総理の指導力を求めている点で一致している。
国内の他の場所を探すというのも…社民党に言われたから探すという性根が情けない。
本気で探す気なのか…
それとも社民党に対するアリバイ工作なのか…
いずれにしても決断が遅れれば遅れるほどあとに災厄の火種を残す…

産経より
【主張】普天間問題 年内決着へ再考が必要だ
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091205/plc0912050259006-n1.htm
 鳩山由紀夫首相はいったい、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題をどう決着したいのか。最近の発言はこれまで以上に揺れ動いており、真意のほどもわからない。
 米国側も表面上はともかく、途方に暮れるばかりだろう。日米同盟の信頼性を損ない、日本の安全保障をきわめて危うくしている。これで国民の安全と繁栄を守る国家の責務を果たすことができるのだろうか。
 年内に決着させるべきだ。再考を強く求める。
(中略)
 国内政治の要因に外交・安保政策が左右されてはならない。政権の中心をなす民主党が責任をもって意思決定すべき案件だ。
 米側から見れば、さらなる迷走を重ねた上、国家の安全よりも連立政権の内部事情を優先させるかのような選択は二重の意味で失望と不信に拍車をかけただろう。
 来年は1月の名護市長選、11月の沖縄県知事選や夏の参院選がある。決着の遅れは事態を複雑化し、決断を難しくする。そうなる前に鳩山首相が責任をもって結論を出さなくてはならない。

読売より
普天間移設 年内決着へ首相は再考せよ(12月4日付・読売社説)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20091204-OYT1T00006.htm
 米海兵隊普天間飛行場の移設問題で、鳩山首相が年内決着を断念する意向を固めたという。
 現行計画に反対する社民党や、それに同調する国民新党に配慮し、連立政権の維持を優先するためだとされる。
 鳩山首相は従来、「日米の合意は重い」「沖縄の思いが大事」などと繰り返してきた。米国も、沖縄県も、移設先の名護市も、現行計画による早期決着を切実に求めている。首相は再考すべきだ。
 首相は日米首脳会談で「迅速な解決」に合意し、「私を信頼して」とまで見えを切った。その後、日米の閣僚級の作業部会で、県内移設の現行計画を軸に調整を急いできたのは、何だったのか。
 米政府が今後、首相と日本政府に対して、不信感を一段と募らせるのは確実だ。作業部会で前向きの結論を出す機運も低下するだろう。日米関係全体に与える悪影響は計り知れない。
 結論を年明け以降に先送りしても、問題の解決に向けて、その後の具体的な展望が首相にあるとは思えない。
(中略)
 参院で各5議席ずつしかない社民、国民新の両党に配慮するあまり、画期的な沖縄の基地負担軽減策や日米関係を危うくするのは、避ける必要がある。
 重要な法案や政策については、自民党など野党に個別に協力を要請し、連携するといった工夫をすることで、政権を運営していく手法も十分検討に値しよう。

日経より
社説1 普天間問題の決着先送りを憂慮する(12/5)
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/index20091204AS1K0400204122009.html
 鳩山由紀夫首相は、沖縄の米軍普天間基地の移設問題の決着を来年に先送りし、新たな移設先も探す考えである。岡田克也外相、北沢俊美防衛相ら安全保障当局の主張よりも、連立離脱の決意を述べた社民党の福島瑞穂党首に対する配慮を優先した結果とされる。
 判断ミスである。日米関係のみならず、鳩山首相の求心力にも暗雲が垂れ込める。経済運営にも影響しかねない。首相自身が政権の危機に気づいていない現状を憂慮する。
(中略)
 年内と越年決着の差が数カ月ならば本来はさほど深刻な問題ではないが、予算編成という節目を逃せば、来年は1月に名護市長選挙、11月に沖縄県知事選挙がある。越年は決着の無期限延期になりかねない。
 その場合、米側は鳩山政権を信頼に足る相手と考えるだろうか。約束の実行を無期限延期する相手を信頼できないと考えるのが普通だろう。平野氏は「これがこけるとすべてパーという議論ではない。そんな薄い日米関係ではない」とも語る。
 国と国との関係では、それは必ずしも間違いではないが、政権と政権との関係が首脳同士の行き違いで壊れた例は少なくない。現在の日米関係は、双方ともことし生まれた政権であり、首脳間に信頼の蓄積は実はほとんどない。日本国内でも、毎日揺れる鳩山発言をまともに受け止められなくなっている。
 首相は直視したくない現実を直視する必要がある。オバマ大統領と並んで立ち「時間がたてば、より問題の解決が難しい」と述べた瞬間を思い出せば、何をすべきかは明らかである。首相自身が調整に乗り出し、米側と一致できる結論を年内に見いだすことである。
 展望なき不作為のつけは、鋭い刃になって首相自身に返ってくる。

朝日でさえ、日米関係の悪化に懸念を表明している。
ただ、時間をかけて米側を説得することへの期待もないわけではない。
普天間越年―鳩山首相は自ら道筋を
http://www.asahi.com/paper/editorial20091204.html
 日米の合意は重い。基地負担を軽減してもらいたいという沖縄県民の思いにも応えたい。米海兵隊の普天間飛行場の移設をめぐって、この二律背反に苦悩していた鳩山政権にもうひとつ、重荷が加わった。
 連立パートナーの社民党が、辺野古移設なら連立離脱も辞さずという方針を固めたことだ。政府は態度を決めあぐね、年内を目指していた問題の決着を先送りする見通しになった。
 米政府が求めている辺野古への移設を受け入れるのか。自民党政権時代の合意であるこの案を見直し、辺野古以外を探るのか。とても難しい選択だ。
 鳩山由紀夫首相は、辺野古以外の候補地も検討するよう岡田克也外相らに指示したが、いずれにしても政治的に大きなコストを伴う判断になる。
 だが、方向感を示さないまま判断をただ先送りすれば、ぐずぐずと決断できない政権という、不名誉な印象が国内外に広まっていく。国民や沖縄県民もそうだろう。そして米国政府は失望し、不信を募らせるに違いない。
 首相はなぜ結論を先送りするのか、もつれる諸条件の何を優先してこうなっているのかを、国民にも米政府にもはっきりと説明すべきだ。
 首相は「年内じゃなければだめだと申し上げたことはありません」と語った。だが、問題は検討に時間をかければ、いずれどこかに落ち着くというほど簡単ではない。
(中略)
 政府内では、辺野古移設を土台にした修正案で打開を探る動きがあった。だが、社民党を連立に引き留めるためには封印しようということだろうか。
 参院での過半数確保を優先した判断だとすれば、普天間問題は事実上、来夏の参院選まで動かないことになる。
 首相が辺野古以外の選択肢を追求する意思があるなら、それも重い判断である。政権が交代した時にそうした見直しを米国に求めるのは、欧州の同盟国でもあることだ。
 ただ、国内調整にも対米交渉にも時間がかかる。必要なのは、その方が日米同盟の長期的な安定に役立つという説得力のある説明だ。内政上の理由でただ先送りでは、失うものは大きい。

毎日は普天間基地周辺住民を懸念する。
社説:「普天間」越年 首相は明確な展望示せ
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20091204ddm005070100000c.html
 鳩山内閣は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題の結論を来年1月以降に先送りする方針を固めた。同県名護市辺野古への移設という日米合意で年内決着を目指す方向が強まる中で、「県外・国外」を主張する社民党が連立離脱の可能性を示唆し、政権運営に支障を来しかねないとの判断による。
 参院で過半数を得ていない民主党としては、来年の通常国会を控え、社民党の離脱は避けたいということなのだろう。しかし、普天間は政権の最大の懸案の一つである。解決の方向性が見えないままの越年は、単純な「展望なき先送り」でしかない。鳩山由紀夫首相は、政権内の意思統一に全力を挙げ、越年するにしても明確な展望を示すべきである。
 鳩山首相が公約してきた「少なくとも県外」や辺野古以外の沖縄県内を移設先としたり、「在日米軍基地のあり方の見直し」(民主党マニフェスト)と連動させて移設先を検討するとすれば、米国側との再協議が必要となり、決着に時間がかかることもあろう。しかし、今回の越年の決断にそうした議論はなく、連立をめぐる政局的な対応でしかない。
(中略)
 問題は、鳩山首相の指導力の欠如である。首相は、沖縄県民の「思い」と負担軽減、日米合意の重要性を指摘しつつ、「最後は私が決める」と強調するばかりで、具体的な方向を示すのを避け続けてきた。移設問題の現在の混迷を招いた責任は鳩山首相にある。
 普天間飛行場とフェンス1枚隔てる普天間第二小学校は、離着陸する米軍機の騒音に悩まされ、毎年春には、米軍機の校内墜落を想定した全校児童の避難訓練を強いられている。住宅密集地にある同基地の移設は、こうした異常な事態を解消し、周辺住民の安全を確保するために必須であり、政府の責任だ。
 鳩山首相のリーダーシップの放棄は、普天間飛行場の固定化に手を貸すことに他ならない。

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コメント 10

さなえ@当ブログ女将

ひさしぶりの更新ですね。

普天間移設に関しては、いい加減にしろ~~と言いたいです。

あの堅物の岡田外務大臣だって、結局今の辺野古沖移転が最善だってわかった・・・・。北沢防衛大臣は、人間の器量は小さいけれど、その分本能的に、アメリカの力を理解し、今までの政府交渉の結果が最善だとすぐに分った。

わかっていないのは、真のリーダーシップがない鳩山さん。

小沢さんが、本当の民主党のリーダーなんだけれど、あの人も無責任ですね~~~。さっさと中国へ出かけちゃって。

鳩山さんも小沢さんも、中国のご機嫌だけとればいいと思っているのでしょうか。

民主党政権って、子供がナイフを振り回しているような、危うさを感じます。
by さなえ@当ブログ女将 (2009-12-05 15:04) 

小父蔵

 鳩山脱税開き直り総理が何を考えているのかなんて分かりません。意外と何も考えていないのかも知れませんが…
 それでもなくても政権基盤の弱いバラク・オバマ大統領にとって、日本のような自前の軍隊を持たない、半人前国家からなめた仕打ちを受けたことは、アメリカ国内的には非常に辛い立場に立たされかねません。それを分かっていて、今回の仕打ちをやって見せたとしたら、鳩山首相は大した政治家なのかも知れません。
 果たして、脱税開き直り総理の真意は如何に? って感じです。
by 小父蔵 (2009-12-05 16:45) 

SilverMac

ポッポちゃんは一国の首相たり得ません。即刻辞めるべきです。
by SilverMac (2009-12-05 22:03) 

井関 太郎

michy-papaさん、小父蔵さん、ymurayamさん、giagiarさん、gyaroさん、SilverMacさん、T.Nさん、ホタルの館さん、flutistさん、kaoruさん、たねさん、
ありがとうございました。

さなえさん、
鳩山総理に最も欠けているのは「人の矢面に立つ覚悟」ではないかと思います。
たぶん、鳩山氏も日米合意案しかないってわかっていて…しかし、それを言うことが出来ない。それでアリバイ工作ばかりやってるように見えます。

小父蔵さん
オバマ大統領も、政府内の知日派も、さぞや困っていることでしょう…

SilverMacさん
相当にボロが出てきましたね。
マニュフェストについても「財源は心配していない」と選挙前は豪語していたにもかかわらず既に初年度の予算編成でピンチだし…
by 井関 太郎 (2009-12-06 11:12) 

yukikaze

遅ければ、遅くなるほど、さらに悪化するのが政治ですから。優柔不断なハトヤマンでは、残念ですが、日本は滅亡につき進みそうです。
by yukikaze (2009-12-06 21:26) 

井関 太郎

おはようございます。
yukikazeさん、「滅亡」という言葉が決して大げさに聞こえないのが恐いです…
by 井関 太郎 (2009-12-07 07:54) 

新太郎

はじめてBlog拝見させていただいております。
私は現在海外在住なのですが、
今回の普天間基地移設に関しては大変関心を持っており
今回様々な記事をサーチしたところこちらのBlogにたどり着きました。
井関 太郎さんのご意見では、各紙の意見は総理の指導力の無さという点で一致したと分析されているようですが、
今回の各紙の報道は偏向報道の可能性も高いようです。
以下リンクご存知かもしれませんが

”きっこのブログ”です。

http://kikko.cocolog-nifty.com/kikko/2009/12/post-2710.html

特に
「伊波洋一市長のインタビュー」(日テレNEWS24)

http://www.news24.jp/articles/2009/12/11/04149543.html

および宜野湾市発表の資料については

http://www.city.ginowan.okinawa.jp/2556/2581/2582/37840/37844.html

大変興味深い内容です。

「沖縄からグアムおよび北マリアナ・テニアンへの海兵隊移転の環境影響評価/海外環境影響評価書ドラフト」
についても確認したいところですが、さすがに8000ページもあるとなると・・・・
厳しいので、しかし少なくともGuamへの統合計画があることはこちらから確認できます。

http://www.guambuildupeis.us/documents

by 新太郎 (2009-12-19 20:11) 

井関 太郎

新太郎さん、コメントありがとうございました。
ご紹介のサイト一通り拝見しました。

サイトで指摘されている米国の計画は既に各紙でも指摘されているものと存じます。
日米で合意されたロードマップよりも多めの海兵隊をグアムに移転させようというものですね。

これをうけて…宜野湾市長の御主張は、米国の計画を根拠として、普天間の代替施設が国内に不要だというものでしょうか…
僕から拝見して…そこには若干の論理の飛躍があるように思えます。

つまり…
「米国の計画」から直ちに「普天間の代替施設が国内には不要」という帰結は論理的には得られそうにないように見えます。

リンクされた「日テレNEWS24」(12月11日)の放映から2日後に同じ日テレで放映された「バンキシャ!」でも、一週間を経た同じ読売系列の「たかじん」でも「普天間の代替施設が国内には不要」論議は取り上げられていませんが、同様の判断に基づいているのはないでしょうか。

この点についてさらに有益な情報があれば歓迎します。
by 井関 太郎 (2009-12-20 22:29) 

編集長 安佐達肇

米軍基地の移転問題についてそんなにこだわるのであれば
沖縄より、東京都内に移したほうがいいのではないでしょうかね。
市場を追い出した後の築地とか、市場の追い出し予定地の晴海なんか
相応しい気がしますね。
詳細は自分自身でも後日ネタにしますわ。
by 編集長 安佐達肇 (2009-12-24 23:46) 

井関 太郎

編集長さん、お返事が遅れました。
代替地を本気で探すなら、ご指摘のような選択肢が上がってもしかるべきだと思います。
その中で様々な要因を勘案して最適なものを選べばよいのだと思います。
僕も近々論点をまとめてみたいと思います。
by 井関 太郎 (2009-12-26 12:43) 

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