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事業仕分けをめぐる論議

僕も色々考えているうちに…大分周回遅れになってしまった。

鳩山政権の元での事業仕分けも前半戦が終わり…賛否両論がある。
単品の事業項目を挙げればスパコンの凍結である。

読売の昨日の社説
スパコン凍結 科学技術立国の屋台骨が傾く(11月22日付・読売社説)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20091122-OYT1T00014.htm
 科学技術に対する新政権の基本姿勢が問われるのではないか。
 文部科学省の「次世代スーパーコンピューター(スパコン)」開発事業が、行政刷新会議の事業仕分けで「事実上の凍結」とされた。
 スパコンは科学技術研究用の高速計算機だ。最新のものはパソコンより100万倍も速い。
 コンピューターの頭脳であるCPU(中央演算処理装置)が1000個以上、その他部品も高速動作するものを使う。本体も巨大なことが多く、計算時の発熱を防ぐため、ほとんどが空調完備の大部屋や建屋に設置されている。
 気候変動予測や航空機設計、生命現象の解明など多分野で「シミュレーション(模擬実験)」に使われている。実際の実験が難しい分野では欠かせない。研究期間の短縮、費用の圧縮もできる。
 その重要性から、世界で開発競争が展開され、日本の計画も世界をにらんでいる。こうした意義を軽視していいのか。(後略)

毎日の本日の社説
社説:視点 科学の仕分け 理系首相に期待したい=論説委員・青野由利
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20091123ddm004070010000c.html
 「次世代スーパーコンピューターで世界一になる意味は?」「国民に夢を与える」。一見、会話は成立しているが、実はかみ合っていない。
 科学技術を対象とする行政刷新会議の「事業仕分け」では、さまざまな事業で仕分け人と文部科学省・科学者の間の溝が浮き彫りになった。背景には、双方が抱える問題があるようだ。
 文科省側の問題は、具体的な成果予測を尋ねる国民目線の質問に説得力のある答えが示せない点だ。科学界で「当たり前」でも、市民にとっては違う。きちんと説明できなければ、「甘い」と言われても仕方ない。
 ただし、それでばっさり予算削減とされるのには違和感がある。事実上「計画凍結」とされたスパコンにも、日本が独自技術として持つことの重要性や、半導体、創薬などへの波及効果があるはずだ。
 仕分けの判断基準には、短期的「費用対効果」など、科学研究になじみにくい要素もある。
 特に基礎科学は投じた資金がそのまま成果につながる保証はない。無駄を承知で広く薄く投資しておくことが、思いもかけない果実を生む。若手支援策のような人材育成も、投資効果を測ることは難しい。 (後略)


昨日放映された2つの討論番組でもこの事業仕分けが取り上げられた。
日曜討論
nitiyou1122.jpg
たかじんのそこまで言って委員会
takajin1122.jpg

総合して言えば…この事業仕分け…
善かったことは…予算編成のプロセスが透明化されたこと。
しかし…問題の方が多い
1. 全体的な戦略の欠如
2. 単なるパフォーマンス
3. 結局官僚頼み
  各省は政務三役が説明せず…官僚が仕分け人から質問を浴びせられる
  仕分け人のために財務官僚が論点と結論までを準備している
4. 脱自民が目的化
takajin1122a.jpg
特に重大な問題は「戦略の欠如」だ。
そのことがスパコン凍結に現れている。
よそから買った方が安い?
ではその…よそから買う金を得るために…日本は何を売る?
科学技術以外に何がある?
そういった戦略が全く欠如している。
日曜討論では…菅国家戦略担当大臣は…ただ民主党政権に国家戦略がないことの弁明を述べただけだ。
それも…骨太だの何だのがうまくいかなかったとか…やはり自民党政権の批判であって…自らの何をしたいという熱意が全く伝わってこない。
nitiyou1122a.jpg
…ところで…たかじんに出てきた元官僚コンビによると…菅大臣は嫌われているのだそうな…
あれほど歯切れが悪ければ仕方がない…
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SilverMac

スパコン、当然ですが、見直しになったようです、2位ではいけませんね。
by SilverMac (2009-11-23 14:48) 

井関 太郎

xml_xslさん、chuntaさん、明さん、SilverMacさん、ホタルの館さん、トメサン、ymurayamさん、ありがとうございました。

SilverMacさん、見直しといいつつ…どうもまだ玉虫色のような気がします。
いずれにしても、「一番でなくてもいい」という気持ちがわかりません。
パソコンとOSにしたって、インテルとマイクロソフトが、「勝者総取り」という現実をどう捉えているのか不思議です。
by 井関 太郎 (2009-11-23 21:27) 

小父蔵

 補正予算の見直しに、事業仕分け… いま本当に必要なことは、景気回復と雇用確保だと思います。どうでもいいことで時間を潰している間に、とうとうデフレに突入なんて… 「国民の生活が第一」といって政権略奪しておいて、やってることはパフォーマンスばかり… 失業率が20%くらいにならないと、自分たちのやってることの間違いに気付かないのかな?
 国家と国民のために働くのが真の政治家です。自分の満足のためにしか行動しない政治屋は国賊としか思えませんが…
by 小父蔵 (2009-11-24 01:36) 

さなえ@当ブログ女将

がっくりです。

事業仕分けの面白さは、テレビ向きですが、
大体、最初の大きく仕分け?つまり、まな板の上に載せるまでの過程が不透明~~~~

人は、他人の不幸を見るのが面白いので、
あれは「見世物」そのものですね。

もっと大切なことを、テレビは報道していないんじゃありませんか?
オバマさんが怒っているとか・・・・。
by さなえ@当ブログ女将 (2009-11-24 16:33) 

yukikaze

事業仕分けの仕分けをする人間に問題がありすぎました。パフォーマンスとしてはいいかもしれませんが内容がない。しかも、視野が狭い人が多く、事業評価の問題点に突っ込めず、抽象論に終始するか、重箱の隅を突くような論議が多すぎました。透明性を持たせるという意味では評価しますが、それ以外では・・・。
仰るように、与党になっても自民党批判に終始する民主党議員を見ていると、やはりその地位(野党)が似合っていると思ってしまいます。たぶん、あるべき姿に近いうちに戻るような気がしました。
by yukikaze (2009-11-24 19:42) 

井関 太郎

おはようございます。

小父蔵さん、
デフレは大問題だと思います。
更に今朝のニュースではNY市場で円高が87円台まで進んだとか…
とにかく彼らがやっていることは政策の優先順位が違うと思います。

さなえさん、
確かに膨大な数の事業からいくつかピックアップして見せ物にしているとしか思えません。
さ、今日はいよいよ「思いやり予算」がトピックですね。

yukikazeさん、
同志社の村田教授曰く、この度の衆議院選では「自民の敗北」は明らかだけれど、「民主の勝利」かどうかは、来年の参議院選まで待たなければわからない…とのこと。確かに言えていると思います。
有権者が本当に民主のマニュフェスト実行を期待していたのかどうかということだと思います。
by 井関 太郎 (2009-11-26 07:39) 

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