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菅新総理誕生を受けての各紙の社説

先週は勾当台公園に行って来た。
目にも鮮やかな緑である。
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さて
菅総理大臣の誕生を受けて…各紙社説は一斉に新総理に対する期待を展開した。
主要な論点は
・日米同盟
・政策本位の政権運営
・小沢氏の影響力排除
といったところだろうか

普天間については…
日米同盟重視が読売・日経・産経・毎日
普天間の県外移設重視が琉球新報・沖縄タイムス
どちらつかずが朝日

それにしても…組閣が週明けとは…
今日明日に大地震のような大災害や工作船事件などが起きたらどうするつもりだろうか…
それを指摘したのは毎日

もうひとつ…ここのところ毎年のように総理大臣が替わったというが…
短命に終わった最近の自民政権は、いずれも衆参ねじれの中でダッチロールを繰り返しながらも1年前後の政権運営に当たっていたのだが
鳩山政権は、衆参合わせて420余議席と圧倒的に有利な状況で…自らの行為や発言が元で自滅したってことを…各社は指摘しないように見える…

読売:菅・新首相選出 日米同盟と経済を立て直せ
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20100604-OYT1T01235.htm
いかにもにわか仕立てである。鳩山首相の退陣表明からわずか2日後、後継首相に菅直人・民主党代表が選出された。
 これで大丈夫なのか、そんな懸念を払拭(ふっしょく)するためにも、菅・新首相は、外交・安全保障の基軸である日米同盟関係の修復と、日本経済の立て直しに全力を挙げねばならない。
 ◆戦略的視点が重要だ
 社会民主連合から初当選し、政界入りした菅新首相は、「市民派」の政治家と言われてきた。確かに市民感覚も大切である。
 しかし、今後は、国家指導者として、国民の安全と安心を守り、国益を重視するという大局的、戦略的な視点からの政治運営に努めてほしい。
(中略)
 ◆二重権力を排除せよ
 内閣の要の官房長官には仙谷由人国家戦略相が内定し、幹事長には枝野幸男行政刷新相の起用が有力視されている。
 新首相は、代表選出馬にあたり小沢氏について「しばらく静かにして頂いた方が、本人にも、民主党にも、日本の政治にとってもいい」と述べた。「非小沢」の仙谷、枝野両氏の重用は、小沢氏と距離を置く姿勢を示すものだろう。
 新首相は、小沢氏主導で廃止された民主党の「政策調査会」の復活も表明している。
 「政策決定の内閣一元化」方針により、停滞してきた党内の政策論議を、政調復活を機に活性化させる意義は小さくない。
 組閣人事は、週明けに先送りされたが、数々の重要政治課題は、待ってはくれない。
 菅新首相については、国家経営の基本的考え方や憲法改正への姿勢などがよくわからない、という指摘が多い。できるだけ早期に、国会の場で自らの所信を明らかにしてもらいたい。
 新首相は、「日本外交の基軸が日米関係にあるという大原則はその通りだ」と語った。だが、日米同盟は、米軍普天間飛行場移設問題をめぐる鳩山政権の失政によって深く傷ついている。
 普天間問題に関する日米共同声明を順守するのはもちろん、代替施設の位置や工法について8月末までに決定し、米側の対日不信を解消していくことが肝要だ。
 経済政策に関して、菅新首相は、「強い経済、強い財政、強い社会保障を一体的に実現する」と強調している。
 財務相として、2011年度の国債の新規発行額を今年度以下に抑えることなど、財政規律回復の必要性を説いてきた。
 そのためにも、子ども手当などのバラマキ施策は早急に見直すべきだ。鳩山首相が現在の衆院議員の任期中、消費税率は引き上げないとしてきた“封印”をこの際、解いてはどうか。
 ◆官僚を使いこなそう
 政策を着実に遂行するには、「政治主導」の名の下の官僚たたきをやめる必要がある。
 専門的な政策の立案や危機管理の面で、官僚組織は有用である。政治家は、官僚たちをうまく使いこなせるだけの能力と度量を磨いていかねばならない。
(中略)
 鳩山政権を崩壊に追い込んだ「政治とカネ」の問題は、鳩山、小沢両氏の退陣によっても、何ら解決していない。民主党がクリーンな政治をめざすというなら、両氏に国会で説明責任を果たすよう求めるべきだろう。

朝日:菅新首相誕生―「市民」の力量が試される
http://www.asahi.com/paper/editorial20100605.html
 歴史的な政権交代を選んだ民意に、今度こそ応えることができるのか、極めて重い責任を引き継いだ。
 民主党の新しい代表に菅直人・副総理兼財務相が選ばれ、衆参両院の本会議で新首相に指名された。
 菅新首相の登場には、昨年の政権交代にひけを取らないくらいの歴史的な意味合いを読み取ることができる。
 新首相を表現するキーワードは、「市民」である。
 団塊の世代に属する菅氏は学園闘争や「市民運動」を経て政界入り。婦人運動で知られる故市川房枝氏を参院議員に担ぎ出したことで知られる。
 ■「田中派」の系譜絶え
 1996年、鳩山由紀夫氏とともに旧民主党を結成したときのキャッチフレーズも、「市民が主役」だった。
 地縁血縁、企業や団体を集票基盤としてきた自民党は「抽象的な幽霊」(中曽根康弘元首相)などと「市民」を目の敵にしたが、十数年を経て、そのトップランナーが首相に上り詰めた。日本政治の新たなページである。
 菅氏は普通のサラリーマン家庭に育った。過去4代、そろって1年前後で政権を放り出してしまった安倍晋三、福田康夫、麻生太郎、鳩山の各氏は、いずれも首相経験者の子や孫だ。
 戦後の歴代首相は政治家一家の出身者か官僚出身者が大多数であり、この点でも極めて異色の出自といえる。
 鳩山氏、小沢一郎前幹事長の「ダブル辞任」と菅氏の登場は、「政治は数、数は力、力は金」という自民党旧田中派、旧竹下派の系譜が完全に断ち切られたことも意味する。(中略)
 ■のしかかる日米合意
 今回の代表選は本来、鳩山政権の失政を総括し、民主党が出直しの足場を固める機会だった。ところが、鳩山首相の退陣表明のわずか2日後に実施するという拙速ぶり。そんな選挙戦を通じ「世代交代」を訴えた中堅の樽床伸二衆院議員より、厚相として薬害エイズ問題に取り組んだ実績や党代表を2回つとめた経験のある菅氏が選ばれたのは、当然の結果ともいえるだろう。
 菅政権に立ち止まっている余裕はない。沖縄県の米海兵隊普天間飛行場の移設をめぐる迷走で揺らいだ日米関係の再構築は差し迫った課題である。
 副総理として内閣の要にいた菅氏はこの問題にだんまりを通していたが、これからはそうはいかない。名護市辺野古への移設を決めた日米合意と、これに猛反発する沖縄の民意がさっそく重くのしかかる。事態打開への戦略と陣立てを早急に固めないと、再び政権を揺るがす事態にも発展しかねない。
(中略)
 今後の経済財政運営の基本となる成長戦略と中期財政フレーム、財政運営戦略は月内の策定に向け、大詰めの時期を迎えている。参院選に向けたマニフェストの練り直しも急務だ。
 次々と直面する政策課題を、いかに的確に着実に処理していくか。かぎを握るのは、菅新首相を支える官邸中枢の顔ぶれや、各閣僚以下政務三役らの総合的な「チーム力」だ。
 それをうまく築き上げることができるかどうか。菅政権が久々の本格政権として安定した政策遂行に取り組めるかどうかは、まずここで試される。
(中略)
 ■「政策一元化」の実を
 鳩山政権で失われた政策実行力や統治能力を取り戻すには、「政策決定の一元化」の立て直しも急務だ。
 菅氏は小沢氏が廃止した政策調査会を復活させる意向を明らかにした。
 政策をめぐり、政府だけでなく与党内でも闊達(かったつ)な議論が行われ、政策に反映されるのは当然だ。そもそも政権奪取前の構想では、党政調会長が国家戦略相を兼務し、党幹事長も入閣することにより、一元化の実をあげることになっていた。組閣と党役員人事という構想実現の好機を逃してはならない。
(中略)  参院選は民主党政権9カ月の中間評価とともに菅政権に対する事実上の信任投票になる。失敗を反省し、生まれ変わった姿を国民に見せられないと、厳しい審判は避けられまい。

日経:菅新首相は政策本位の政権運営目指せ
http://www.nikkei.com/news/editorial/article/g=96958A96889DE2EAE4EBEAE1E4E2E2E7E2E4E0E2E3E28297EAE2E2E2;n=96948D819A938D96E38D8D8D8D8D
 民主党の菅直人氏が第94代首相に選出された。週明けにも組閣し、菅新内閣が発足する。
 昨年の衆院選の民主党マニフェスト(政権公約)では、財源の裏付けのない子ども手当の創設など、当面の選挙対策を優先した政策が目立った。鳩山政権発足後も小沢一郎幹事長の選挙至上主義が、政策決定をゆがめた側面は否めない。菅新首相の誕生を機に、政策本位の政権運営に転換するよう強く求めたい。

党政調の復活は当然だ

 鳩山由紀夫首相はわずか8カ月半で退場した。鳩山氏は5月末に米軍普天間基地の移設問題を決着させるという約束を果たせず、社民党の連立離脱を招いたこともあって、引責辞任に追い込まれた。鳩山、小沢両氏の「政治とカネ」の不祥事も響いた。菅新首相は有権者の信頼を取り戻し、統治能力のある政権の体制を整える責任を負う。
 その際に重要なことは小沢氏の影響力を排除することである。鳩山氏は党務を完全に小沢氏に委ね、代表であるにもかかわらず党運営の蚊帳の外に置かれていた。
 党内では小沢氏が最高実力者と目されていた。内閣の下での政策決定の一元化という建前とは裏腹に、重要政策の決定に小沢氏が介入することもあった。党側の横やりで方針が二転三転した高速道路の新料金制度の迷走などを見れば、その弊害は明らかだろう。
 菅氏は4日の記者会見で内閣・党役員人事について「官邸の一体性、内閣の一体性、党の全員参加を目標にする」と述べるにとどまった。ただ3日の出馬記者会見では小沢氏と距離を置く考えを示しており、内閣の要の官房長官には仙谷由人氏を起用する意向だ。仙谷氏は小沢氏に批判的な勢力の中心人物である。
 鳩山政権の政策決定が迷走した大きな理由は、鳩山氏の指導力不足とともに、首相官邸の調整力が弱かったことにある。菅新首相は閣僚に明確な指示を出して、内閣の政策決定を主導してほしい。民主党が政権公約で掲げた閣僚委員会はほとんど機能しておらず、仙谷新官房長官の調整能力が試される。
(中略)
 菅氏を代表に選んだ党代表選は政策論争がないまま終わった。4日の記者会見でも、菅新首相からは新政権のメッセージがほとんど伝わってこなかった。菅氏は「強い経済、強い財政、強い社会保障を一体的に実現する」と強調しているが、将来の消費税の取り扱いなどを早急に肉付けし、具体案を示す責任がある。

政権公約の見直し急げ

 夏の参院選は迫っているが、菅新首相は党内で集中的に議論したうえで、自らの考えを参院選の公約に反映させなければならない。鳩山政権が準備した公約の中身をそのままにして、ただ表紙の顔を変えるだけでは有権者の理解は得られまい。
 鳩山首相は対米外交でつまずいた。この教訓を生かし、亀裂が生じた日米同盟の立て直しが急務だ。菅新首相は日米関係を外交の基軸にすえると同時に、中国との関係を重視する考えを示している。日米と日中を並列に置くようにも受け取れる。
 台頭する中国と良好な関係を築くことが、日本の最優先課題のひとつであることは確かだ。しかし日中間には東シナ海のガス田開発問題などの火種がくすぶり、中国の軍拡はアジア諸国の懸念を招いている。
 中国に責任ある行動を促し、安定した日中関係を築くには日米同盟の後ろ盾が必要である。菅新首相は普天間基地移設をめぐる先の日米合意を着実に実行し、対中政策でも日米が緊密に協調できる関係を築いてもらいたい。
 韓国哨戒艦の沈没事件を受け、緊迫する朝鮮半島の情勢からも目が離せない。鳩山政権は独自制裁の強化を決め、北朝鮮に圧力を加える姿勢を鮮明にした。この路線は北朝鮮側からの軍事挑発にも対応できる体制があって初めて成立する。新政権には万全の危機管理を求めたい。

産経:菅新首相 国の針路正し危機打開を ばらまき政権公約を撤回せよ
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100605/plc1006050312005-n1.htm
第94代首相に指名された菅直人氏には国家の針路を正し、国難を打開することを強く求めたい。
 8カ月余りで崩壊した鳩山政権は迷走を続け、国益を大きく損なった。国民は民主党政治は信頼に値しないと突き放した。
 副総理・財務相として内閣に参画していた菅氏は、こうした危機に手をこまねいていたのではなかったか。所管外とはいえ米軍普天間飛行場移設問題に関与しようとしなかったのは、待ちの姿勢と批判されても仕方ない。
 これからは国家と国民の平和と繁栄に関する最高の責務を負うこととなる。「この国を立て直すのが第一の仕事」と語ったように国政への信頼を取り戻すことに全力を挙げなくてはならない。
 ◆小沢氏は完全退場を
 菅氏は官房長官に仙谷由人国家戦略担当相、幹事長に枝野幸男行政刷新担当相を充てる方向で調整している。打破すべきは小沢一郎幹事長への権力集中に伴って続いてきた独裁的な党運営である。小沢氏と距離を置いていた人材を内閣と党の中枢に据え、小沢氏の影響力を排除することは当然である。
 小沢氏は政治とカネをめぐる問題で国民の信を失ってしまったことを潔く認め、鳩山由紀夫首相を見習って、政界からの引退を決断すべきである。
 菅氏は党の政策調査会復活も掲げた。政調会長を閣僚として処遇したいとも述べた。二重権力と呼ばれた政策決定システムを刷新する姿勢を貫いてもらいたい。
 国を立て直す最重要課題の一つが、鳩山政権によって破綻(はたん)寸前まで悪化した財政の再建にあることは明らかだ。ユーロ不安で政府債務の信用リスクが問われている中、債務残高の対GDP(国内総生産)比が181%と先進国で突出している日本は、常に経済崩壊に直結する金利急騰リスクにさらされているからである。(中略)
 ◆郵政法案合意は問題
 菅氏は国民新党との連立継続を決めたが、郵政民営化に逆行する郵政法案について「速やかな成立を期す」と確認したことは問題だ。首相として最初の政策判断が問題の法案にゴーサインを出すものでは、政治の方向性が変わらないことを印象づけるだけだ。
 亀井静香郵政改革・金融相との協議では、社民党も入った昨年9月の3党合意を引き継ぐことも確認した。連立離脱した社民党に引き続き政権への協力を求める布石だろう。
 だが、連立離脱の原因となった普天間問題で社民党が辺野古移設に同意することはあり得まい。安全保障政策の明確な不一致が残っているのになぜ連携なのか。「選挙至上主義」は残念だ。
 それより、日米合意に沿って8月末までに代替施設の位置や工法を確定する作業に全力を挙げるべきだ。沖縄の強い反対の中で難しい作業だが、米国との約束を果たし同盟を堅持せねばならない。
 不安材料は、北朝鮮による拉致問題への対応だ。拉致実行犯である辛光洙(シン・ガンス)容疑者らの釈放嘆願書に菅氏が署名したことがあるからだ。個別名まで確認する余裕はなかったなどと釈明しているが、明確に謝罪すべきだ。対北制裁問題で毅然(きぜん)とした姿勢を示すかどうか注視したい。

毎日:社説:菅直人新首相 政治立て直す指導力を
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20100605k0000m070148000c.html
 菅直人新首相が誕生した。迷走を極めた鳩山内閣が9カ月足らずで退陣し、民主党の政権担当能力への国民の信頼が大きく揺らぎ、2度の失敗が決して許されない中で国政のかじ取りを担う。
 前政権の失敗を踏まえ政権の性格が変わったことを示すためには小沢一郎前幹事長との二重権力構造を招かない体制を構築し、組織優先でバラマキ型に陥った悪弊を改めることが必要だ。危機的状況にある財政再建、揺らぐ日米関係の再構築など内外の諸課題で責任ある方策を掲げ、来る参院選で国民の審判を仰がねばならない。
 ◇「脱小沢」を徹底せよ
 「日本の行き詰まりを打破したい」。菅氏は国会での首相指名後の記者会見で難局にあたる決意を強調した。だが、人事、政策については総じて慎重な言い回しに終始した。
 今回、民主党代表選の焦点は、鳩山由紀夫前首相と共に役職から身を引いた小沢氏の影響力排除をどこまで示せるかにあった。菅氏の貫禄勝ちだったとはいえ、小沢氏と距離を置く姿勢を明確にしたうえで樽床伸二衆院環境委員長に圧勝した意味は大きい。最大勢力である小沢氏系グループがキングメーカーとなる構図は幻想だったとすら言える。
 とはいえ「脱小沢」の明確な指標は、党の要の幹事長人事だ。小沢氏と距離を置く枝野幸男前行政刷新担当相の起用を検討している模様だが、仮に小沢氏への配慮から見送るようでは政権の足元を見られよう。
 国会で首相に指名されたにもかかわらず、組閣を来週に先送りした対応も異例だ。体制構築にある程度の日数をかけることはやむを得ないが、危機管理上、本来は首相指名選挙も延ばすべきではなかったか。
 菅氏に求められるのはトップの言動への信頼を回復するリーダーシップの発揮である。市民運動からスタートし、さきがけなどを経て旧民主党結党に参画した菅氏は非2世議員で、自民党に所属した経歴も持たないという近年の首相にないユニークさを持つ。ここ数代、ひ弱で資質が問われたリーダーたちとは異質のしたたかさを期待したい。
(中略)
 ◇責任ある公約示せ
 内外の政策課題でまず直面するのが政権崩壊の要因となった沖縄・普天間飛行場の移設問題である。菅氏は辺野古沖に移設する日米合意を踏襲し、沖縄の基地負担軽減に取り組む姿勢を示した。だが、沖縄県や名護市の同意が得られるめどは立っていない。その一方で、8月末に工法など具体案の策定を迫られる。
 仮に調整に失敗すれば普天間飛行場の固定化という最悪のシナリオを招きかねない。当面の危険除去の検討を急ぐことはもちろん、首相自ら早期に沖縄に行き、失われた信頼関係の構築を急がねばならない。
 財政も危機的状況にある。菅氏はこれまで消費増税積極論者だったが鳩山前首相の「消費税4年据え置き」との方針を果たして見直すのか。指針を示さなければ、責任ある政治とは言えまい。
 その意味で、重要なのが参院選で有権者に示す党の公約だ。さきの衆院選で掲げたマニフェストはバラマキ型の内容ですでに財源の骨格が破綻(はたん)している。誤りは率直に国民に謝罪したうえで、実現可能なプランを示さねばならない。
(後略)

琉球新報:菅新首相誕生/おごらず国民に寄り添え 「変革」実感できる政治を
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-163106-storytopic-11.html
 菅直人副総理兼財務相が民主党の新代表に決まり、衆参両院本会議で第94代、61人目の首相に選出された。国民新党との連立政権を維持し、週明けの早い時期に新内閣を発足させる。
 菅氏は、退陣した鳩山由紀夫首相や辞任した小沢一郎幹事長が自民党出身の世襲政治家であるのと異なり、市民運動を経て政界入りした庶民派のリーダー格だ。
 民主党が看板とする「脱官僚支配」「政治主導」の旗手と目され、論戦力、行動力にも定評がある。圧倒的多数の国会勢力におごることなく、国民に寄り添い、沖縄の基地問題も含め「変革」を実感できる新時代の民主政治に挑んでほしい。
■揺らいだ政権公約
 歴史的な政権交代で民主、社民、国民新3党による鳩山内閣が発足したのは昨年9月だった。当初は7割超の高い支持率を誇り、国民世論をバックに、利益誘導型の「永田町政治」や省益優先の官僚体質を変えていくだろうとの期待が広がった。
 確かにこの間、事業仕分けの手法を使いながら国民に開かれた予算の在り方を見せることができた。「核持ち込み」秘密合意など日米間の4密約検証も、歴代政権下ではできなかったことだ。政権交代の成果と評価していい。
 一方、政治とカネの問題では、首相と幹事長の政権ツートップが厳しい追及を受ける異常な事態が続いた。クリーンな政治に程遠い状況にあり、国民の政治への信頼を取り戻せていない。
 行政の継続性を説く官僚らのペースにはまり、重要な局面で大胆な政治決断を下せないケースも少なからずあった。政治主導が揺らいだ最たるものが、米軍普天間飛行場移設問題に代表される外交・安保の分野であろう。
 普天間の移設先を「最低でも県外」と公言しながら、米国に一喝されると、すごすごと主張を引っ込める。迷走の果てに、自民政権下の日米合意に大筋で回帰するという失態を演じた。
 沖縄を切り捨てる形となった先の日米共同声明は、社民党の政権離脱を招き、鳩山内閣の支持率低落に拍車を掛けた。その流れで退陣の引き金も引かれた。
 新首相となる菅氏はどうか。普天間問題への姿勢は沖縄にとって最大の関心事だが、昨年来、踏み込んで発言していない。辺野古移設を明記した閣議決定に署名した経緯から、鳩山政権の方針を撤回する可能性は低いとみられるが、民意に背く政治はいずれ破綻(はたん)すると心すべきだ。  菅氏は、女性の地位向上に努めた故市川房枝氏を参院選に担ぎ出し、当選させた。自身も政界入りし、橋本内閣で厚相を務めた際には薬害エイズ問題で、役所の決定的な過ちを裏付けるファイルを見つけ出した。官僚の抵抗をはねのけて公表し、被害者らに土下座して謝罪している。
■試金石の沖縄問題
 今年1月の財務相就任会見では、こう説いている。  「大臣は役所の代表ではなく、国民が役所に送り込んだ国民の代表。財務省が国民のために働く役所であるように、という役目で就任したと理解している」
 この基本スタンスに立てば、各閣僚は省益と保身に躍起な「高級官僚」を排し、民意を何よりも大切にして働かなければならない。閣僚を束ねる首相には、一段と重い責任と行動が求められる。
 ところが、普天間問題に関し、鳩山政権の外相、防衛相らは明らかに「国民のために働く」姿勢を欠いていた。危険の県内たらい回しを拒む沖縄の声には耳を傾けず、米側を向いて仕事をした。そう指摘されても仕方がないだろう。
 菅氏は首相指名後の会見で、普天間問題について「基本的には日米間の合意を踏まえ、沖縄の負担軽減に腰を据えて取り組んでいく」と表明した。新政権の試金石となることは間違いないが、薬害エイズ問題で被害者の訴えを傾聴した菅氏である。
 普天間問題でも「腰を据えて取り組む」と誓った以上、基地被害が甚大な沖縄を見くびるようなことはしないと信じたい。
 おごらず、ひるまず、国民目線で―。それが政権交代の使命だったはずだ。数の論理で沖縄を切り捨てる愚を重ねてはならない。菅首相誕生を、血の通う政治実現への出発点と位置付けたい。

沖縄タイムス:[新首相に菅氏]前政権の失敗に学べ 説得すべき相手は米国だ
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2010-06-05_7014/
 民主党の新代表に選ばれた菅直人氏が4日の衆参両院本会議で第94代、61人目の首相に指名された。
 政治家一族でない「非世襲」の国会議員が首相に就くのは、社会党の村山富市氏から実に14年ぶりだ。1974年の参院選で市川房枝氏を担ぎ出し、選挙事務長を務めて当選させた市民派として知られる。その看板を実際の国政運営に反映できるかどうかが菅内閣の生命線になるだろう。
 代表選後に菅氏は「ノーサイドを宣言したい」と党内融和を呼びかけた。もちろん鳩山由紀夫前首相を8カ月で辞任に追いやった米軍普天間飛行場の移設問題がある沖縄に対して「ノーサイド」と言えるような情勢にはない。
 鳩山前首相と運命共同体だった副総理が首相に繰り上がっただけで「新鮮味」に欠ける、と野党側は批判している。民主党の統治能力に対する懸念が鳩山首相の退陣で払拭(ふっしょく)されるわけではない。
 「政治とカネ」の問題については鳩山前首相と小沢一郎前幹事長のツートップが共に身をひくことで幕引きを図った。菅首相も小沢氏と一定の距離を置くことでこの問題に一区切り付けるつもりだ。
 他方、解決のめどがまったく見えていない普天間問題は、菅首相が日米合意を尊重する意向を早々と打ち出したことで、今後の「迷走」を確定的にしてしまった。
 この問題は自民党政権の積み残しで、一朝一夕に解決できない根深さがあることは誰もが知っている。政権交代後の8カ月で片付けようとした拙速さと手法の稚拙さが鳩山前政権の命取りとなった。
 この失敗から何を学ぶかが新内閣にとって最も大事な視点になるはずだ。
 無批判に日米合意の継承を宣言した菅首相は果たして基地問題を解決する秘策があるのだろうか。民主党が真の意味で再生するには国民との約束を誠実に果たす政治意思と実行力を示せるかどうかにかかっている。
 菅首相は過去に何度も「海兵隊撤退論」を主張した。「常時駐留なき安保」の考えは鳩山前首相と気脈を通じる。
 98年に沖縄で開催した党大会で、党代表だった菅氏は「海兵隊を米領に戻しても日米安保上支障はない。どうしても必要であれば削減して本土へ移転するのも当然だ」と海兵隊の県外・国外移転を打ち出した。
 沖縄の基地問題に関する超党派勉強会の会長に就任した2005年、普天間の辺野古移転について「不可能だ。県外、国外へ移転すべきだ」と発言した。
 日米同盟を維持するにしても在日米空軍と第7艦隊を継続駐留させれば海兵隊が米国へ退いてもアジアの安保環境へダメージを与えない、との論陣を張った。米軍再編を受けた日米交渉で在沖米海兵隊司令部など8000人のグアム移転が決まった後も同じように主張していた。
 ところが鳩山内閣で副総理に就任してからは普天間を含む安保問題について発言を控えていた。
 いまは鳩山前首相による日米合意を継承するという。政治家が「言葉の重み」を顧みなかったことが前内閣の致命傷だった。菅首相も同じ過ちを繰り返すのか。
 地元の名護市は一貫して反対している。辺野古周辺の埋め立ては県知事の認可が必要だが、知事が地元の反対を無視できるはずもない。日米合意を実行するには国が知事から権限を取り上げる強行突破しか打開の道はない。
 「地域主権」を政策の一丁目一番地としている民主党が、国家権力で地域を押しつぶす愚行に走ればこの国の民主主義は死ぬ。外国軍基地の問題で首相が交代し、民主主義を見失う国はおかしい。
 普天間問題で政府が説得する相手は沖縄ではなく米政府であるはずだ。鳩山前首相はそれを怠ったため、国民は民主党に失望した。
 普天間をめぐる鳩山内閣の迷走を「無意味な8カ月」にしてほしくない。

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コメント 4

小沢総書記

世論調査の結果が出ると、菅政権の支持率は40%以下ではなかろうか。そして、いずれ30%以下に。
左巻き菅は亀井との間で、郵政改悪を行うことを改めて署名確認した。
参議院選挙で惨敗し、菅は責任を取って辞任する短命政権となることを切望する。

by 小沢総書記 (2010-06-05 16:04) 

SilverMac

久し振りの庶民出身宰相ですね。
by SilverMac (2010-06-05 17:38) 

yukikaze

左巻きブーメラン政権がどこまで続くのか。早く終了してまともな政治をして欲しいと願っています。
by yukikaze (2010-06-07 16:57) 

ramen

菅直人の悪行(シンガンス釈放・天皇不敬など多数)を報じない。テレビ・新聞
今マスコミではプランCがあるらしい。

【重要 各位厳守のこと】
御存知のように、本日6月2日にプランCが発動されました。
つきましては、かねての手順どおりに行動していただくようにお願い申し上げます。
念のために、大まかな指針を記入しておきますが、確認後は即時ご処分ください。

1. 今週一杯は代表選・組閣で民主党を持ち上げること。
2. 来週一杯は新総理・新閣僚の紹介で民主党を持ち上げること。
   (この間郵政改革法案強行採決があるが無視すること)
3. 14日から16日までは終盤国会の新閣僚奮闘で持ち上げること。
4. 17日から23日までは国会閉会後の民主党新人候補の活動中心に報道。
5. 24日の参院選告示後は、公平な報道に尽力すること。

今、マスコミに流れている文書だそうです。ご報告いたします。

by ramen (2010-06-10 08:15) 

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